身嗜み
みだしなみ、の話。
はっきり言うて、ワシは全然おしゃれではない。
靴とベルトの色は揃える位はするけど。
着るもの、持ち物、無頓着。
電車で上から下までブランドもん(たぶん)で揃えたやつをよお見かける。
大変やろな、維持するのと鼻で笑う。
そういう奴はたいてい不○工(笑)。
着るもの、持ち物でカバーするのね。
ワシはその必要はまったくない(笑)。
しかし、他人に不快感を与えないポリシーは持っている。
昔、中学の時、色気づいてきた頃、小遣いでコロンを買い、母に無駄遣いしてとしかられた。
その時、ばあちゃんがこう言うた。
「みだしなみやでな、ばあちゃんはかまん(構わん)と思うよ」。
いつも和服の普段着に前掛けをして、干物屋の店番をしていたばあちゃん。
「みだしなみ」と言う言葉がものすごく新鮮やった。
いま思うと、ばあちゃんは町内の旅行なんかで出かける時は、お洒落やった。
明治42年生まれ、とっくに逝ってしまったが、東京帰りのモボ(笑)と結婚した位やから、田舎でも洒落た人やったに違いない。
そう、じいちゃんは親父が10歳の時、戦時中に亡くなっているが、大正から昭和初期やろな、東京にいた。
銀座で勤めてた、服部○計店にいた、と聞いたことがある。
当時の田舎者にしては、飛び抜けてお洒落、いまで言うイケメンやった。
仏壇の写真は帽子を被り、斜に構えるグラビアみたいな写真(笑)。
親父が小学校に上がる時も、全部難波の高島屋で揃えたそうな。
どうやら、このじいちゃんのお洒落は、隔世遺伝しなかった。