どこかに故郷の
昔、紅白で自分の持ち歌以外を歌うという趣向の年があって、当時ドラマで活躍していた西田敏行が「あゝ上野駅」を歌った、確か寅さんのような格好して。
中学生やったけど、字幕の歌詞を追いながら聞いていて泣きそうになった。
家族と一緒やったから泣かへんだけど、鼻の奥がツーンときて目がウルウル…したのを覚えてる。
そんな時代やったんかー、自分と同じ位の子らが集団就職で田舎から都会へ出て…、そんな彼等の立場で、気持で聞いてなら泣けてきた。
亡くなったと聞き、頭の中をこの歌がグルグル…。
ネットのダウンロードサイトを見てみたら、検索ランキングで上位にあった。
この歌に思い入れのある、当時の集団就職組のおじさん、おばさんが、またワシみたいにこの曲の世界に引きずりこまれた人が探しに来たに違いない。
ええ歌やもんなー、曲もええもんなー。
今でもイントロだけでツンとくる。
そのおじさん、おばさんらにはたまらん曲やろな。
応援歌としてずっと支えになったんやろな。
カラオケとか行くと、好きな歌を「名曲やよな」と簡単に口にするけど、やめよう。
本当の「名曲」って、こういう曲を差すんや、きっと。
ちなみにワシは平成元年に上京、ひかり号で東京駅でした、ずいぶん趣きが違うなあ。
香りは乗せてないけど、東京駅で次々出発する新幹線を見ると、乗ったら名古屋まで1時間半、チャッと帰れるのになあ、なんて思うこともある。
駅ってなんかそんな気持ちにさせる不思議な雰囲気がある。
その街の玄関やからかな、初めて訪れたときの印象が残るんや、きっと。
また上野駅を通ると、頭の中を流れるんやろな。
「どこかに故郷の…」