車椅子

最近、電車でもよく耳にする。

「3号車お客様ご案内中です。調布までお願いします」みたいな。

我々も車椅子の皆さんも、当然同じ「お客様」、乗り降りに手伝いが必要やからって、同じお客様。

今でこそ、あちこちにスロープやエレベーターが整備され、外のトイレや電車やバスは利用しやすく、外出しやすくなったが、10年20年前は大変やったはず。

嫌がられたり、邪魔者扱いされたり、舌打ちされたり、きっと嫌な思いをされた人も多いと思う。

今はそういう設備が標準やったりするから、我々も車椅子の人が乗ってきても、珍しくないし、何とも思わない。

昔、友達のT君の向かいの家に住む車椅子のおばちゃんがおった。

昔のこと、田舎のこと、暮らしにくかったんやろか。

逆に町内の、近所の人が自然とフォローしとったんやろな、そう思いたい。

まだホームにエレベーターやリフトが整備されて無い頃、新宿駅の中央線から南口へ上がる階段で、「お前、それでも人間か!」と怒声を聞いた。

前の方で車椅子の女性が、一人の駅員ともう一人の男性が、さらに手伝いを探している様子。

声をかけた相手が何かを言い返したんやと思うが、それに対しての怒鳴り声。

車椅子の女性は「すみません、すみません、結構ですから」。

すぐそばにいた何人か手伝いをした。

この時初めて気づいた。

こうやって外に出るたびに、こんな思いをせなアカンのやったら、外も出にくいわな。

ワシなら家から出やへん。

その頃からや、街中は急速にバリアフリー化。

ずいぶん利用しやすくなったと思うとはいえ、それでも大変に違いないし、周りに気を遣うやろ。

ハンディキャップのある人を見かけたら、彼等の立場、気持ちになってみやなあかん。

優しい気持ちになれるはず。